腎盂・尿管癌

診療案内

腎盂・尿管がんとは

腎臓で作られた尿の通り道である腎盂および尿管内に発生する悪性腫瘍です。頻度は、同じ組織型でできている膀胱がんの約1/10-1/20程度であり、比較的稀な疾患です。

症状

早期では無症状のことも多いですが、自覚症状としては痛みを伴わない血尿が特徴的です。腫瘍により尿管が閉塞すると、水腎症(腎盂が拡張、腎が腫大した状態)を来します。

診断

超音波検査、CT検査、尿細胞診検査などを組み合わせて診断を行います。解剖学的な理由により正確な診断は難しいことが多いため、当科では基本的に尿管鏡検査を行い腫瘍の存在を直接確認します。腫瘍を疑う病変がある場合は、組織採取を行い、腫瘍の悪性度も確認します。また腫瘍の肉眼的所見や個数など、多くの情報を得ることができるためその後の治療方針決定に大いに役立ちます。

治療

手術には全摘手術と腎温存手術(腎臓を摘出せずに癌の根治を目指す手術)、の2つに大別されます。

腎尿管全摘手術

転移がない場合は、腎臓・尿管と尿管が開口する膀胱壁の一部をつけ一塊に切除する、腎尿管・膀胱部分切除が標準治療として行います。進行度に応じて、術前後の抗がん剤投与や術中リンパ節郭清を行い良好な成績を収めるよう努めています。当院では、術後の疼痛軽減や入院期間の短縮のため、腹腔鏡orロボット支援下腹腔鏡手術で原則的に行っています。

腎温存手術

当院の特色として、積極的に腎温存手術を行っています。腎温存手術には、内視鏡下レーザー腫瘍焼灼術と尿管部分切除術が含まれ、当院ではいずれの手術においても症例を慎重に選択して行っています。近年では、日本および海外のガイドライン(EAU, NCCN)で低リスクと考えられる場合(elective case)や、高度腎機能低下や合併症のある方(imperative case)には、腎温存手術を行うことが推奨されています。当院では、ツリウムレーザ―(Thレーザーm:YAG)を用いることで、より安全に腫瘍焼灼を行い、腎臓を温存できるよう取り組んでいます。低リスクの方においては、腎温存手術により癌根治と腎温存の両立ができることを目指しています。また高度腎機能障害や合併症のある方にとっては、腎臓を一つ摘出することによりその後の生活や、ひいては生存にまで大きな支障(癌以外の原因で死亡する可能性)が出ることが予測されます。そのような場合にも、慎重に適応を相談しながら腎温存手術を行い、患者さんの生活の質の維持が可能か探っていきます。
最近では、腎盂尿管がんは、リンチ症候群という遺伝性腫瘍で発生しやすい癌の一つとして注目されています。当院では、臨床遺伝診療科(Hpのアドレスを記載)と密に連携し、患者さんと相談しながら必要に応じて遺伝的検査を行っています。これにより、その後のご本人の発症リスクの高いがんの予防や、ご家族のがん発症予防・早期発見につながるなど大きな恩恵を得られると考えています。

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