前立腺癌

診療案内

前立腺癌は、食の欧米化や高齢社会を背景に近年増加している、男性癌で最も多い癌種の一つです。

前立腺癌は初期段階では通常無症状であることが多く、発症が高齢で一般的に進行がゆっくりしていることが多いため、癌と気づかないまま寿命をまっとうされる方もいらっしゃいます。しかし、進行すると排尿困難、血尿、骨痛などの症状が現れることがあります。そのため早期発見と適切なステージング・治療が重要であり、家族歴などのリスク要因を持つ男性はPSA(前立腺特異抗原)検査、直腸診、腹部エコーなどで定期的なスクリーニングを受けることが推奨されます。

前立腺癌の診断

スクリーニング検査で前立腺癌が疑われる場合は、MR I検査で精査を行い、前立腺生検の是非を検討します。現在当院ではMRIで前立腺癌を疑う部位がある場合、同部位を選択的に生検する『MRI同期下生検』を施行しております。MRI同期下生検を行うことで癌の検出率が上がるとされています。




治療について

前立腺癌の治療は大きく分けて手術、放射線療法、薬物療法(ホルモン療法、化学療法)があります。
癌が前立腺に限局している場合は主に手術、放射線療法が選択されます。手術はロボット(da Vinci surgical system)を使用した手術を行うことで、従来の開腹手術や腹腔鏡手術と比較して短時間、低侵襲な治療が可能であり、早期の回復が期待できます。
放射線治療は病期に応じて放射線外照射、密封小線源療法からご要望に応じて治療を選択します。病気によってホルモン療法を併用することで手術と同等の効果があるとされています。
転移を有する前立腺癌に対しては薬物療法を行います。薬物療法は男性ホルモンを抑えるホルモン療法が中心となります。ホルモン療法後に進行する癌を去勢抵抗性前立腺癌(CRPC: Castration-Resistant Prostate Cancer)といい、新規抗ホルモン剤や、抗がん剤の適応になります。また、去勢抵抗性前立腺癌はがんゲノム検査などでBRCA遺伝子変異が確認された場合はBRCA遺伝子変異に対する薬剤(PARP阻害薬)の使用が検討されます。

密封小線源療法

当院では低リスクの前立腺癌に対してはより身体への負担の少ない密封小線源療法も行っております。
前立腺内に集中して放射線を照射する治療ですので、体外から放射線を照射する外照射治療と比較すると、直腸や膀胱など前立腺周囲にある臓器への影響は少なくなります。前立腺全摘出術との比較では、身体に対する負担が少ないこと、入院日数が少ないこと、性機能(勃起力)が約7割で温存できることが挙げられます。適応に関しての詳細は担当医とご相談ください。

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