間質性膀胱炎・膀胱痛症候群

診療案内

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群とは

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群は、膀胱に生じた原因不明の慢性炎症により、膀胱や尿道の痛み・不快感、頻尿などの症状を繰り返す病気です。日本では約4,500人(10万人あたり4.5人)の患者さんがいると推定され、重症のものは厚生労働省の指定難病となっています。女性患者さんは男性の約5倍といわれ、特に中高年の女性に多くみられます。「尿検査で異常がない」「尿を我慢すると症状が強くなる」「頻尿の治療をしても良くならない」「精神的な問題と言われた」といった患者さんが多く、苦痛を伴う症状によって生活の質が大きく損なわれてしまいます。しかし、根本的な治療法は確立されておらず、生活指導や手術、薬物治療を組み合わせることで症状の緩和を図ることになります。

原因

膀胱粘膜の機能不全や免疫系の異常、刺激に対する過剰反応などいくつかの説がありますが、はっきりとした原因は分かっていません。

症状

頻尿、尿意亢進、尿意切迫感(急に起こる強い尿意)などの他、膀胱や尿道、腰の痛みなどが主な症状です。特に膀胱の痛みは、尿を我慢した時に多く生じます。これらの症状は食事や環境、ストレスの影響を受けやすく、良くなったり悪くなったりを繰り返します。

検査・診断

同じような症状がみられる他の病気との鑑別のため、まず問診票や排尿記録、尿検査、尿流測定、残尿測定などを行います。その上で間質性膀胱炎が疑われる時は、膀胱鏡検査を行います。ハンナ型間質性膀胱炎では、特徴的なハンナ病変(写真1:正常な毛細血管の構造を欠いた粘膜の発赤)がみられ、診断に有用です。また、治療を兼ねた検査として、下半身麻酔または全身麻酔下に膀胱水圧拡張検査を行います。膀胱内を生理食塩水で拡張させ、排液するまでの膀胱粘膜の様子をカメラで観察します。膀胱粘膜の生検(組織の採取)を行うこともあります。

写真1:ハンナ病変(中央の発赤)

治療法

保存的治療

ストレスの緩和や膀胱訓練(膀胱に尿を貯める訓練)、食事療法(症状を悪化させるコーヒー、アルコール、柑橘類、香辛料などを控える)などが有効な場合があります。

手術治療

診断を兼ねて、前述の膀胱水圧拡張術(内視鏡手術)を行います。膀胱の拡張によって過剰な知覚が弱まり、症状が軽減するとされています。同時に病変を電気メスで切除、焼灼することもあります(写真2)。効果が続く期間は人それぞれで、症状が再燃する場合は再度手術を行ったり、他の治療を行ったりします。

写真2:膀胱水圧拡張術 粘膜からの五月雨状の出血(青)と焼灼された病変(黄色)

膀胱内注入療法

ジメチルスルホキシド(DMSO)の膀胱内注入療法が保険診療として認められています。膀胱内に薬剤を注入し一定時間保持する、という治療を外来で定期的に行います。

PAGE TOP