女性泌尿器・骨盤臓器脱

診療案内

女性泌尿器科

ウロギネコロジーという言葉をご存じでしょうか?「ウロロジー(泌尿器科)」と「ギネコロジー(婦人科)」を合わせた言葉で、女性特有の尿路生殖器疾患を対象とした診療分野になります。代表的な疾患として「腹圧性尿失禁」「骨盤臓器脱」があります。

腹圧性尿失禁

症状

「せきやくしゃみで尿がもれる」というのが主な症状です。中高年女性では、年を取るにしたがって悪化し、重症になると立ち上がるだけでももれるようになります。また、切迫性尿失禁といって、「尿意ががまんできずにもれる」という症状を伴うこともあります。

原因

重いものを持つ仕事、肥満、便秘などにより、骨盤底筋に慢性的な負荷がかかった結果として起こる場合が多いですが、加齢や女性ホルモン欠乏(更年期)によって、骨盤底筋自体が弱くなることや、尿道や腟の粘膜が薄くなってうるおいがなくなることも一因です。

治療

生活指導(減量し、腹圧を避ける)や理学療法(骨盤底筋トレーニング)の有効性が広く知られています。ただし、きちんとした指導を受けて行うことが大切で、自己流の体操でかえって症状が悪くなる人もいます(正しい骨盤トレーニングのやりかたはこちらの動画をチェック)。近年は骨盤底筋強化を目的とした専用の磁気治療器もあります。

尿道や腟の粘膜の萎縮には、女性ホルモンやレーザー治療が有効と言われています。
上記の治療で良くならない場合、下腹部と膣内の小さな切開だけですむ、短時間の手術があります。

骨盤臓器脱

症状

「膣に小さなボールのようものを触れる」という症状が一般的です。横になったりすると引っ込むこともあります。脱出の違和感以外に、尿意ががまんできない、尿や便が出しにくい、下着に血やおりもののようなものがつく、といった症状もみられます。

原因

おおもとは妊娠・出産時に靭帯や腟平滑筋が受けたダメージですが、そこに慢性的ないきみ、肥満、便秘、女性ホルモン欠乏などの要因が加わって、発症します。子宮だけでなく、腟壁と一緒に膀胱や直腸が脱出することもあります。手術で子宮を摘出した人でも起こります。

治療

軽症であれば、上記1で紹介した骨盤底筋トレーニングが有効です。また、ペッサリーという膣内器具を使用することもあります。手術が必要な場合もあり患者さんの希望や健康状態に合わせて選べます。

  • 膣出口をせまく縫いちぢめる手術
    性生活がなく、全身の健康に不安がある人には、短時間でできて合成メッシュを用いない手術を選びます。再発率は合成メッシュを用いる手術の方が低いですが、強い腹圧をかけなければ、再発は必ずしも多くありません。
  • 臓器を引き上げる手術
    性生活がある人や活動量の大きい人では、合成メッシュを用いる手術を選びます。膣はそのままに、子宮や膀胱を元の位置に戻し、弱くなった靭帯や膜をメッシュで補強します。再発はメッシュを用いない手術より低いですが、メッシュに関連する特有の合併症(腟へのメッシュ露出や感染、痛みなど)があるため、メリットとデメリットをよく吟味して選びます。
    手術支援ロボットを用いておなかの中から引き上げる手術(仙骨腟固定術)と、特殊な針を用いて腟から行う手術(TVM)とがあります。性機能の温存には仙骨腟固定術が優れている一方、手術時間が短いのはTVMです。
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