教授挨拶

Opening up the future of urology 泌尿器科の未来を切り開く

泌尿器科の未来を切り開く

 私は2023年で110年を迎えた泌尿器科学教室の第11代目の教授です。
 1998年岡山大学泌尿器科に入局し、前任の公文裕巳教授、那須保友教授を初めてとする素晴らしい先輩方のご指導を賜りました。
 2001年より岡山大学泌尿器科の悲願であった腎移植を立ち上げるため、東京女子医科大学でご指導を受けました。その後アメリカで5年、基礎研究2年、そして米国医師免許(USMLE step 1~3)を取得し、3つの大学で臨床研修を1年ずつ合計3年行わせていただきました(腎移植、癌、ロボット手術(経歴参照))。いずれの臨床研修も日本人初でした。帰国後2009年から腎移植を開始し約200例を行いました。今のところ1年生着率、1年生存率はともに100%と世界一の成績を維持しております。長い間腎移植班を支えていただいた和田耕一郎先生は島根県での腎移植の再開を担うべく2021年島根大学泌尿器科教授に就任されました。現在西村慎吾先生のリーダーシップの元、新しいフェーズを迎えています。
 私は世界一の泌尿器科である米国クリーブランドクリニックへの留学を通じてオールラウンドな診療体制の構築が一流の条件と実感しています。岡山大学の強みは多くの専門分野を持っていることです。癌の治療はもちろん、ロボット手術や内視鏡手術、女性泌尿器科、排尿障害、生殖医療、ジェンダーセンター、感染症そして腎移植などバランスよく発展させて参りたいと考えます。特にロボット手術は2010年に国立大学病院では初導入し、癌を中心にこれまでに約2000例という日本有数のロボット手術を行って参りました。また我々はヨーロッパ・アジア初、世界第4例目のロボット自家腎移植や、日本初のロボット腎盂形成にも積極的に取り組み世界をリードして参りました。
 なお女性泌尿器科のチーフである小林知子外来医長はみやびウロギネクリニック院長の井上雅先生とともに本年度から西日本泌尿器科学会の代議員になっていただきました。20名を超える女性医師は岡山大学の強みです。
 研究については癌の基礎研究はもちろん、AIによる尿細胞診診断という新しい領域にも挑戦しております。また渡部昌実先生と定平卓也先生は泌尿器科領域における新しい治療デバイスのスタートアップ企業を立ち上げておりこれを支援して参ります。
 私の最大の任務は次世代を担うリーダーを育成することです。常に地域、日本、世界という三つの視座を持ち、医療だけでなく、社会の発展に貢献したいと考えます。
 我々はコロナ禍でも、過去最高の海外留学派遣を行って参りました。皆素晴らしい成長を遂げ、教室を支えてくれています。彼らがさらに羽ばたける環境を作って参ります。
 那須学長は「不易流行」の大学経営を掲げておられます。泌尿器科も変えていくべきことは変え、守るべきことは守るという不易流行の精神に則って新しいことに挑戦して参ります。

泌尿器病態学 教授荒木 元朗

経 歴

平成10年4月
岡山大学医学部附属病院泌尿器科
平成10年7月
津山中央病院研修医
平成11年7月
岡山大学医学部附属病院泌尿器科
平成13年1月
東京女子医科大学泌尿器科腎移植フェロー
平成14年9月
米国クリーブランドクリニック リサーチフェロー
平成16年7月
米国クリーブランドクリニック 臨床フェロー(腎移植、膵臓移植)
平成17年7月
米国マイアミ大学・臨床フェロー (泌尿器科癌)
平成18年7月
米国オクラホマ大学・臨床フェロー(ロボット手術、腹腔鏡手術、Endourology)
平成19年9月
岡山大学医学部・歯学部附属病院泌尿器科助教
平成20年11月1日~平成21年1月31日
韓国ヨンセイ大学・臨床フェロー(ロボット手術)
平成24年4月
岡山大学病院泌尿器科 講師
令和3年10月
岡山大学病院泌尿器科 診療科長
令和3年11月
岡山大学学術研究院医歯薬学域泌尿器病態学 准教授
令和4年12月
岡山大学学術研究院医歯薬学域泌尿器病態学 教授

専 門

泌尿器科専門医・指導医
がん治療認定医
日本移植学会 移植認定医
日本臨床腎移植学会 腎移植認定医
日本ロボット外科学会 専門医(国際B級)
日本泌尿器内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会技術認定医
米国医師免許 Step 1-3

現所属

岡山大学大学院医歯薬総合研究科 泌尿器病態学分野 教授

趣 味

読書

好きな言葉

・最善観(森信三、修身教授録より):全ての出来事は必然かつ最善である

・強くなければ生きていけない、優しくなければ生きる甲斐がない

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