腎癌とは
腎癌とは、腎臓の細胞ががん化したもので、腎がんとも呼ばれます。このうち、尿を生成する腎細胞ががん化して悪性腫瘍になったものを「腎細胞がん」といいます。同じ腎臓にできたがんでも、尿の通り道である腎盂の細胞ががん化したものは「腎盂がん」と呼ばれ、腎細胞がんとは区別されます。これは、腎細胞がんと腎盂がんでは、がんの性質や治療法が異なるためです。なお、腎臓がんの多くが腎細胞がんであるため、一般的に「腎臓がん」とは腎細胞がんのことをいいます。腎細胞がんは毎年10,000人余りが新たに罹患するといわれ、中高年の男性に好発(男女比2:1)するがんです。早期ではほぼ無症状であるため、健診や、他の病気の検査中にCT等画像検査で診断されることが多いのが特徴です。腎細胞がんは、最も多い淡明細胞型(たんめいさいぼうがた)腎細胞がん(7~8割)のほか、乳頭状腎細胞がんなど、いくつかの組織型に分類されます。
症状
早期では自覚症状がないことがほとんどです。進行した場合には血尿、背中や腰の痛み、腹部のしこり(腹部腫瘤)などの症状があわられることがあります。
診断
主にCT検査を行って診断します。画像検査をもとに、ステージ分類を行い、各ステージに応じた治療を行っていきます。
治療
腎細胞がんの治療はがんが腎にとどまっている場合と遠隔転移している場合(その他の臓器、リンパ節などにもがんがみられる)とで大きく分けられます。
腎にとどまっている場合
- 手術療法
腎細胞がんの最も基本的な治療法です。近年では身体への負担を少なくする方法、腹腔鏡や多関節アームを有するロボット(ダヴィンチ)を用いたロボット支援手術が多く行われています。また、4cm以下の小径腎癌には、術後の腎機能低下を抑えるため部分切除や、凍結療法(放射線科と連携)などを積極的に行っております。
遠隔転移している場合
- 免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイント阻害薬は、自己免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ薬です。
- 分子標的薬
分子標的薬は、がん細胞の増殖に関わるタンパク質や、栄養を運ぶ血管、がんを攻撃する免疫に関わるタンパク質などを標的にしてがんを攻撃する薬です。
近年では、免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬を併用する治療が行われることが多く、薬ごとにさまざまな副作用があらわれます。自分が受ける薬物療法について、いつどんな副作用が起こりやすいか、どう対応したらよいか、特に気をつけるべき症状は何かなど、治療が始まる前に担当医、薬剤師よりご説明させていただきます。
- 放射線治療
骨や脳への転移などに対して、放射線治療を行うことがあります。また近年では、早期発見された腎癌に対しては有用という報告があります。